汲む

こんばんは!

優輝です(^.^)

ブログにお越しくださり、ありがとうございます。

今日は、私の好きな詩人、茨木のり子さんの詩集から、「汲む」という詩を紹介させていただきたいと思います。

数日前から、なんかこの詩が思い出されて、今、響く人がいるかもしれない、、、ふと、そんな感じがしたので。。。

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「汲む ~Y.Yに~」

大人になるというのは

すれっからしになることだと

思い込んでいた少女の頃

立ち居振る舞いの美しい

発音の正確な

素敵な女のひとに会いました

そのひとは私の背伸びを見すかしたように

なにげない話に言いました

初々しさが大切なの

人に対しても世の中に対しても

人を人とも思わなくなったとき

堕落がはじまるのね 堕ちてゆくのを

隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

私はどきんとし

そして深く悟りました

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな

ぎこちない挨拶 醜く赤くなる

失語症 なめらかでないしぐさ

子供の悪態にさえ傷ついてしまう

頼りない生牡蠣のような感受性

それらを鍛える必要は少しもなかったのだな

年老いても咲きたての薔薇 柔らかく

外に向かってひらかれるのこそ難しい

あらゆる仕事

すべてのいい仕事の核には

震える弱いアンテナが隠されている きっと・・・

わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました

たちかえり

今もときどきその意味を

ひっそり汲むことがあるのです
☆☆☆

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私は、この詩を読んで、肩の力が抜けるような、張り詰めていたものが弛むような・・・

弱さを悟られちゃいけないとか、平気な顔をしてなくちゃいけない、、、そんな力んだ心が溶けていくような感じがして、

そして、本来みんなが持っているけど、どこか奥深くに仕舞われてしまった大事なものを思い出させてくれるような気がして、すごく好きな詩です。

詩の力、「ことばの力」ってすごいな、と思います。

今日はこの辺で。。

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

感謝を込めて。。。

優輝

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Posted by 優輝